スペシャルインタビューの第1弾は、
女性の視点で販売促進のプロモーションを企画・運営されている、グッドピーアールの石野洋子さんをゲストにお迎えし、弊社の代表取締役社長 岩本俊幸が第3話にわたり対談いたします。
第2話
『どうしたいか?』を追求すれば見えてくる。
- 司会
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プロモーションのポイントについて、岩本社長はどうお思いですか?
- 岩本
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この間、経験したちょっと面白い話があります。石野さんもご一緒でしたが、ある打合せの後に食事へ行ったんですよ。マグロの中落ちの定食を食べたのですが…。会社の近くのお店で…。(笑)
- 石野
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中落ちって具体的ですね…。(笑)
- 岩本
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おそらくその店は夜で稼いでいるのだと思いますが、昼間は回転を良くするためなのか非常に対応が悪かったんです。まあ、食べる物は美味しかったのですが…。
その時、何だかこの商売のやり方で良いのかなぁ?と思って…。プロモーション以前の問題なのですが…。
それを石野さんに投げかけたら…。「どうしたいかですよね。」と一言で言われ、こんな風に答える人初めてだなぁと思いました。それからは私の口癖になってしまっているんですよ。結局は「どうしたいか?」ですよね。
- 司会
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良いキーワードですね。「どうしたいか?」は…。
- 岩本
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その会社の考え方として、そこのオーナーや経営陣として『どうしたいか?』に尽きるのではないでしょうか?
- 石野
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正に今、現状のその状態を続けたいのか?もっと上を目指しているのか?ですよね。
- 岩本
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本当にそこですよね。実はそのことがあってからマイブームみたいになっていまして。「どうしたいか?」が…。
先日もある会社の社長と夜、お会いしていた時のことです。プロモーション活動をいろいろやりたいと思っているのですが、プロモーション活動ができる人材が社長本人しかいないのが現状なのです。現在も人材を募集しているのですが、何度面接してもなかなか決まらないという話をしていたのです。その時、同席していたその社長のお知り合いの方がこの件についてアドバイスをしていたのですが、私は黙って聞いていただけなんですよ。
するとその方が黙って聞いている私に向かって『岩本さんはアドバイスしてあげないの?何かしてあげないの?』と問いかけてきました。
そこで、私はその社長に向かって「社長本人がどうしたいか?でしょう。」と言って話が終わってしまったのですが、それが失礼な会話ではなかったのですよ。その社長としては「そうだよね、俺どうしたいんだろう?」って自問して…。なかなか良いクエスチョンだったように思えます。
- 司会
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「どうしたいのか?」という問いかけは本質を突いていますよね。私たちプロモーション(広告・販売促進・PR)をお手伝いする側としてはそれは言えません。しかし、そこを敢えて言ってあげることで気づいていただく、その上で共にプロモーションを考える。そのコミュニケーションがお手伝いする側に大切なのかなと思いますが。
- 石野
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そう思いますよ。本人の中に答えが、どこか探せばあるわけですから…。
どこを爪楊枝で突っついてあげるかという、突っつきどころのタイミングが肝心だと。
また、それが針のようなもので突っつくのではなく、やはり風船が割れない様にしてあげることが必要なのではないでしょうか。
- 司会
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それでも自分で答えを導き出せない経営者の方もいらっしゃいますよね?
石野さんはそのような場合はどう対処するのでしょうか?
- 石野
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その一点の行為行動だけでない見方で話させていただくならば、私はそのような場合、人の行動パターンで全て見るようにしています。
人間って何でも究極な時の行動は無意識な行動だと思います。ルーティンの生活習慣から成せるものだと思いますね。考え方も昨日、今日始まったわけではなく、過去からのその考え方の習慣で…。
- 司会
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人をパターン化できるのでしょうか?
- 石野
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どんなパターンかを見極めるのではなく、これがこの人の一固体の中でのパターンなのだという観点で見ます。ですからこの人の一パターンとして、どうしたら望むシナリオにたどり着けるかを自分の中にイメージします。それで、先程の爪楊枝の比喩のように突っつくのです。
- 司会
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そういうレールに乗せてしまうんですね?
- 石野
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そうですね。時には時間的なことで、答えを今、必要としているのかを逆算して考えて、その場で答えを出す場合もあります。または、これでは今日は答えが出ないなと思ったら、それは直感レベルですが、そういう場合は考えを熟成させ、後日にお伝えいたします。
- 司会
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なかなか次の行動に進めないお客様がいらっしゃいますよね。取り敢えずやってみてからトライ&エラーで仮説検証を実施し、次のプロモーションステップに繋げるのが普通だとお伝えするのですが、それでもなかなか行けない人が多いのではないでしょうか?考えすぎて次へ進めない方が…。
- 岩本
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いますよね。でも、逆の方もいらっしゃいます。何かやっていないと恐怖を感じている方が。何もやらない方と何かやっていないといられない方、いろいろなタイプ方がいらっしゃるので一概に言えませんね。
私はタイプで見る時には、それは経営者だけでなくいろいろな立場の方もそうなんですが、その方々の乗り越え方ですね。それぞれの過去を遡って。とても大変だった状況をどう乗り越えてきたかというところですね。皆さんそれぞれ違いますよ。その場で容易に乗り越えられる方、または熟成させ期間を置いて、乗り越えてからそれをしみじみ感じ入る方もいらっしゃいます。言葉では全て表現できませんが。そういったそれぞれの乗り越え方を知ってあげることにより、行動に移すことをお勧めしますし、行動し過ぎている方に対しては、整理して差し上げます。ただ難しいですけれどね。そう簡単にはいきませんが。
広告会社、コンサルティングの二足のわらじの強み。
- 司会
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広告会社がコンサルティングをしている。そういうスタンスでやっているイズ・アソシエイツのような広告会社のスタンスを石野さんはコンサルタントという立場で、どうお思いになりますか?
- 石野
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イズ・アソシエイツという会社のブランドでコメントさせていただくならば、やはり、お客様の側に常にいてあげようという姿勢が感じられますね。その中に、様々な自分たちの持っているクリエイティブがあり、信念だとか、お客様を育てていこうという姿勢が見えます。
例えば、マラソンの先頭集団ですか?マラソンは引き離されて走るのって孤独ですよね?先頭集団の中にいるか、いないかで物事の進め方とかモチベーションの保ちかたって違うと思います。イズ・アソシエイツさんがお付き合いしていらっしゃるクライアントさんは、その先頭集団に入っている気分を感じているのではないかなと思います。それが新しい表現なのかわかりませんが、ふさわしい。私はそう感じますね。
岩本社長は実は自分が先頭集団のようで、たまに先頭集団ではない時間を上手く作って、そして先導車の上からコメントしている時もありますよね。そしてまた、先頭集団に入っていくという感じですか…。
- 司会
-
広告会社の社長(岩本社長)が販売促進のコンサルタントをしている会社がお客様にメッセージを送るとしたらどんな表現が良いのでしょうか?また、どういうことをイズ・アソシエイツに依頼すれば良いと石野さんは思われますか?
- 石野
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もし私が、クライアントと仮定して、御社にコンサルティングをお願いしますと言った時に、ものすごくスムーズに行くだろうなあと思います。何故かと言いますと一つの事業の中で、お客様にどうアプローチし、どんなツールを使ってアピールするのかという入り口のクリエイティブワークが出来ますよね。それから、接点が持てた後、次にお客様をどう増やせば良いかという点においても、ソフト面のアドバイスやクリエイティブワークのハード面、その両方がありますね。ハードは広告であったり、ソフトはそれをどう組み立てていくのかというメッセージの作り方の部分です。
そしてクライアントは、それらをまとめる作業を何度も繰り返して、結果を出す。その結果に対し、次にどうしたら良いのか?どう行動をしたら良いのか?というアクションがクライアントの中で必然的に生まれなければおかしい状況になるはずだと思うんですよね。そこに資金や人材も投入しているわけですから…。
その後の対お客様へのアプローチの方法やフォローツールに関してもどこに相談するかとなるとやはり、最初に接点を持った結果を出した会社ということになりますよね。良くも悪くとも一つの結果を出したわけですから…。そこと継続しなければ分析も出来ませんから。そんな部分もカバーできるキャパがありますよね、イズさんは。後は、立地条件などクリアすればお願いしようと思いますよね。
広告会社との距離間はプロモーション(広告・販売促進・PR)にどう影響するか?
- 司会
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お客様が広告会社を探している時に立地条件というのは関係があるのですかね?大きく影響するのでしょうか?
- 石野
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あると思います。
- 岩本
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距離間という意味ではあると思います。私どもの立場では単体で商品を売っている訳ではないからね。経営的に考えて、もし電話やメールで全て出来るのであればビジネスの観点ではOKですが。
あまり全国的にというよりも。最後は会わなければなりませんからね。私どもの仕事は、やはり会っていろいろなものを体感しなければならないし、その行くまでの時間とコストはどうしても掛かりますからね。
- 司会
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やはり距離間があると、提案する内容のクオリティが保てなくなる気がするのですが?頻繁にお会いすることで、高いクオリティが生み出されるものではないでしょうか?
- 岩本
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いいえ、それはお互いの意識の問題ですからね。離れていてもきちんとコミットメントして定期的に会うとか、しっかり電話やメールでフォローすることをしていれば問題は無いと思いますが。それよりもそういった距離間のある仕事が増えてきた時に、マネジメント的なデメリットは出てくるだろう思います。当然ね。
- 司会
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それは広告会社側のポジションとしてですよね?ユーザー側としてはどうでしょうか?
- 岩本
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ユーザー側から見たら当然、話さないと伝わらないモノがありますよね。それが電話やメールでも十分伝わっているなと思えばOKだと思いますが。そうでないと感じるユーザーはダメでしょうね。お互いに会わないとね。
- 司会
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会って話をすることは大事ですよね?そのコミュニケーションの中で、肌でつかむ感覚ってありますね。それは発注する側も受注する側もその感覚、直感に近いところが無いと始まらないですよね?
会ってコミュニケーションすることがプロモーションのプロセスであり、ツールのクオリティですよね?全てに掛かってくると思います。電話やメールで簡単に済ますことではありませんよね?
- 岩本
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それとは話がそれるかもしれませんが、BEMのEと同じでして…。顧客コミュニティということで言うならば、弊社のお付き合いしている、ある店舗がお客様と会う交流の場を実際に作っています。それがお手紙だけとか、電話やメールだけとかだとコミュニティは生まれません。それと同じで場を作るということではないかと思います。会うことも結局は場を作っていることなのですよ。
- 司会
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プロモーションの一つのメニューBEMのEというのは、お客さんと消費者とは同じだよということですね。そこで肌で感じる温度差は文章だけ、声だけでは伝わらない。五感で感じ取らなければならないということですね。そういうところはありますよね?
- 石野
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ただ、ここがサテライトオフィスで同じ組織文化で違う土地にあったとしたら、それは有効だと思います。私は地方で仕事をしていたので余計わかります。
- 司会
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温度差はありましたか?
- 石野
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私は、地方で勤めていた時、東京のデザイン会社にカタログ制作を依頼したことがありましたが、やはり違いますよね。仕上がりは!
- 岩本
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違うというのはどんなふうに?
- 司会
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どこが違うのでしょうか?よく言われますよね。
- 石野
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何と言うのでしょうかね。その時はディレクションから違いました。カメラマンからコピーライトも全部そうですが…。グラフィックの装丁も全部含めて。まず、紙の選び方から違いますね。なんか、違って見えるんです。違った香りがします。いい意味でです。
- 司会
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地方=安かろう、悪かろうというイメージがありますが?
- 石野
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それはそうでもないですよ。職業によりますけどね。
私は、ブライダルの会社でドレスなどのカタログを作らなければならなかったし、プロデュースのカタログやショーなども開催するのでDMも制作したりと。
高額な単価の商品を扱っていたので、それなりのコストを掛けたグラフィックをやっていました。地元でももちろん制作していましたが、ある気合を入れた、全てのモデルを東京より呼んで開催したショーにはカタログ、DMなどを全て東京の会社にお願いしました。
- 司会
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地方にはスタンスとして『印刷会社』、『デザイン会社』という2業態しかないのですね?
- 石野
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そうです。ソフトが無いのです。窓口となった広告代理店の担当というのは営業マンですから…。結局そこで出来ることってTV、ラジオなどのメディア媒体になってしまいます。一つの単体のグラフィックとなるとデザイン会社に依頼するか、印刷会社に依頼するしかないのです。正に、私はその窓口をしていましたので良くわかります。決して悪いわけではないのですよ。
- 司会
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クリエイティブの限界があるということでしょうか?
- 石野
-
そうですね。デザイン性の限界はあります。
- 司会
-
東京の会社に依頼することにより、仕事の領域が広がるのですか?
- 石野
-
領域は広がりますね。
- 司会
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例えば、地方でプロモーション(広告・販売促進・PR)を考えている方が、東京の広告会社、デザイン会社、印刷会社とはどういった目線やスタンスで付き合うのでしょうか?
- 石野
-
クライアントの数とかクライアントが何を目指すのか?で違うと思いますが、東京ってやはり日本の中では究極なモノを醸し出す場所であると思います。世界からも集まりますし。その中で揉まれて、会社が存在しているので、そういう玉手箱的なものをデザイン会社なり、イズさんも持っていらっしゃる。それを開きたくなるのではないかと…。そういう部分で依頼したくなるのではないでしょうか?
場所の魅力であり、クライアントの数であったりと、東京という場所のエッセンスの固まりみたいなものがなせる業なのかと思います。
- 司会
-
そうですね。岩本社長は、地方と都市の違いをどう思われますか?
- 岩本
-
弊社では地方の会社と多くお付き合いしているので…。北海道稚内などの会社ともお付き合いがあります。先程の玉手箱で思い出しましたが、皆さん東京に一度、仕事を頼んでみたいというのがあるみたいですよ。
- 司会
-
願望ですか?
- 岩本
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そう、願望です。頼んだことが無いからですね。皆さんそうですよ。それで、本当にクオリティや対応が良ければ続くし、それが悪ければ切れてしまいますね。憧れというんですか?
- 石野
-
本当にそうですね。それはあると思います。
- 岩本
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一つはその理由ですね。もう一つは、それぞれの方が東京に来る用事を作りたいという理由ですね。
- 司会
-
東京に出てくるきっかけですか?
- 岩本
-
定期的に東京に出てくる用事を作りたいのですね。
- 石野
-
そうかもしれませんね。
- 岩本
-
東京に出てくる大義名分が立ちますからね。それは、信頼できる会社だという前提がありますが、打合せがあると言えば東京に来られるわけですよ。
距離間のリスクはありません。東京は安いですよ。
- 司会
-
それはあるかもしれません。地方でプロモーション(広告・販売促進・PR)の受け皿があまり無いというのも関係があるのではないでしょうか?
だから、どうしても都心の会社に頼らざるを得ない。それは、距離間に対するリスクがあるわけで、コストに跳ね返ってくるとか、地方の方が価格は安いわけですよね?
- 石野
-
そんなことは無いですよ。東京のほうが価格は安いですね。
- 司会
-
競争しているからですか?
- 石野
-
意外と皆さんそれは見落としがちなのですが、むしろ東京の方が…。何に対して安いかと言うと、クオリティに対してですね。
- 司会
-
なるほど…。質が良いけれどそんなに高くはないということですか?
- 石野
-
値段が同じで東京の方がクオリティが高いとなれば、東京が安いということです。その発想で考えれば…。
- 司会
-
その意味では地方で何かプロモーションやツールを考えている方はモノを見る判断を勉強したほうが良いということですね?
- 石野
-
そうですね。やはり今の自分たちのプロモーションの仕方だとそれ以上クオリティが上がらないということを知らせなければならないと思います。
それでも、クオリティの保てないモノがまかり通って商売になっているのだから、それに疑問を抱かないわけです。よりクオリティを高めたいと追求している会社には、何を変えれば、どうやったらプラスアルファの部分でよりクオリティを高めるのかをアナウンスしてあげる必要があると思います。その中に、もしかしたらコピーライトのセンスだったり配色だとかがあるのではないかと思います。
- 司会
-
それはイコールお金をかけろということではないですよね?お金をかければ良いものができる訳ではないと?
- 岩本
-
私が思うには良い情報には、触れたほうが良いと。クオリティの高い情報にいろいろな意味で触れるのは意義があると思いますが。それが東京にあるのではないかと地方の皆さんが思っているかもしれませんね。
- 司会
-
そんな匂いがするのですね?
- 岩本
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でも、それは東京だけではないと思いますが…。たまたま人口密度や会社の密度が高いから絶対数は多いわけですよね。ですから一番は質の良い情報を浴びることですかね。
- 司会
-
質の良い情報を浴びること、体感することで先程の話の「どうしたいのか?」が明確に見えてくるのでしょうか?
- 岩本
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そんなものではないですね。それは繋がっていないと思います。「どうしたいのか?」はそういう側面ではないと思います。
- 石野
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どちらかというと今の話は素材になります。要素の中の一つだと思います。
- 司会
-
それはもっと深いところなのですね?
- 石野
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映画の監督でなければならないと思います。いいキャストが集まっても、良いシナリオが無ければ面白いエンタメは作れないのではありませんか?そういうことです。
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