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スペシャルインタビューの第3弾は、企業の組織改革から教育を行う有限会社GMJコンサルティングサービスの小野裕子さん。顧客視点を極めるプロセスについて3ヶ月にわたりインタビューを掲載します。

第3話

ノードスとロームのUSP

岩本

有名な例でもいいですし、卑近な例でもいいですが、具体的にこういうUSPがあって、こういうふうに活用してうまくやっているという例があれば。

小野

有名な例としてアメリカのノードストローム、百貨店の「お客様にイエスと言う」というUSPがあります。お客様にノーと言わない。返品も受け付けますし、一番初めに接触した店員がそのお客様にとっての責任者となります。その店員が権限を持っていまして、店長におうかがいを立てたりしなくても、その店員が引き受けますと返事してもいい。そのお客様にとっての最善の方向性とは何かということで対応していくことを実行している会社です。

ここでの有名な逸話で、タイヤを返品してきた人がいた時に、申しわけございませんと受け取ったという話があります。でも、ノードストロームではそもそもタイヤを売ってない。売ってないものでも返品として受け付けた。なぜならばお客様がノードストロームでタイヤを買ったと思われているのであれば、それは私たちの過失であるということで受け付ける。そういう有名なエピソードがあるぐらい徹底した会社です。

岩本

すごいですね。まさに一つの軸ができているという感じです。そこがいわゆる約束ということですよね。

小野

そこが果たされている。でも、お客様にイエスと言うということを全面的にうたっているわけではないのです。行動規範として持っているだけです。ただ、それをお客様は感じるわけです。私たちを大事にしてくれている。私を特別に扱ってくれている。その実感がリピーターとしてのお客様、既存客が常連になっていくという状態をつくっている。その常連となった人たちがクチコミで、買うならノードストロームがいいよ、気持ちよく買い物ができるよと営業マンになってくださる。そういう仕組みを生んでいるわけです。

岩本

目に見えないかたち、言語化されて外には出していないというかたちですね。

小野

外には出してないけれど、みんな知っている。

岩本

いま話しているぐらいですからね。

小野

社員全員に対して、私たちはお客様にとってどういう存在であるかというと、お客様にイエスと言う存在。そのUSPが軸となった時、私たちのルールはこれですというルールができて、そのルールの実現を徹底するという組織の動きになっていったということです。

岩本

とてもわかりやすい事例を聞かせていただきました。

顧客視点とかUSPという話を聞いてセミナーを受けてみたくなりましたが、セミナーはどういうふうにやられていますか。何カ月にいっぺんやっているとか。

小野

月1回開催で、いまのところ偶数月にやっています。最終的にフィードバックを、参加者の方から自分に対して意見をもらうことを大事にしているので、少人数制でやっています。

岩本

1回が3時間ぐらい?

小野

3時間完結型で、その使ったワークはすべて持ち帰っていただきます。

岩本

社内で活用していただくのはオーケー。

小野

そうです。

岩本

ご覧の方はぜひ受けてください

小野

ありがとうございます。(笑)次回は6月14日です。

岩本

今後、御社ではどういう展開をしていく予定ですか。

小野

顧客視点に立った88の質問と、USPマトリックスを使って考えを飛躍させるという3時間のプロセスは、すごい、本当にパワフルな道具です。せっかくどんな人にでも、いつでもできるという状態にしてあるので、これを広く広めたいと思っています。それでいま、3時間のセミナーを広く伝えていってくださる方々を育てようということになりまして、88の質問のコンサルタント育成をやっています。この間、郡山の方が、1号の方が、早速この4月26日※にセミナーを展開されるといううれしいお知らせを聞きました。

岩本

もちろんUSPもそうでしょうが、まさにこのプロセスを広げたい。

小野

そうです。これはいろいろな応用ができる、たった一つの道具です。この道具ですべてが解決できるとは思っていませんが、一つの解決ツールとしては強いものだと思っています。完成度が高いので、それを広げていこうというのが一つあります。

あと、人間を成長させる、自分で何か違うことを発見していくのは学習ですから、学習ツールの開発を積極的に展開していきたいと思っています。大人になったら学習が終わるわけではないですよね。社会人になったら、教科書もない中で行き当たりばったりながらも、いろいろな問題に直面してやっていかなければならないではないですか。そういう時に、学校の時のように算数の公式で言ったとおりにやってみる。これでできなかったら、このやり方もある、このやり方もあるというふうな、いろいろな解決ツールを自分で持っているのが大切だなと感じています。

大企業だと積極的に教育してくれますが、中小、零細は教育ができない状態が多いですよね。ですからそこへ向けて、問題の発見と解決のツールをたくさん持っていただく。その中から自分の状況に合わせて、組み合わせて使えるというクリエーティブな人をどんどん輩出していきたいと思っています。

岩本

いままで標準化されてないようなノウハウを標準化するということですか。

小野

意味としてはそうです。この領域の人たちだけが知っているとか、特別な状態が大嫌いなので。

岩本

ああ、いいですね。(笑)みんなが使える。

小野

みんなが使えて、なおかつ自分でも組み合わせができる。そういうフレキシブルな状態をめざしています。

岩本

企業秘密だったら内緒にしておいてもらっていいですが、次にやろうとしていることが何かありますか。いまみたいなプロセスを標準化するとか。

小野

よくぞ聞いてくれました。(笑)いま「考動(こうどう)の学校」というのを始める準備をしています。

岩本

考動の学校?

小野

社員の教育が大事だとわかっていても、時間がないとか、コストをかけられないとか、マネジャークラスの人たちを一堂に集めることができないとか、中小企業、零細が抱えている教育に対する壁があります。それを全部取り払ったものを仕組みとして提供しよう。すべてが3時間完結型です。3時間の中で必ずツールを手渡す。すべてが問題解決を目的としている。その中でもコミュニケーションだったり、経営者視点だったり、マーケティング営業だったり、その人の状況に応じて選んで受講できる。そういうものを提供していこうといま準備しています。5月8日に開講しますので、5月8日の開講に向けて※いま積極的に営業しているところです。

岩本

全体の期間は。

小野

1年です。

岩本

全部で何講座ぐらいありますか?

小野

48本。

岩本

毎週1本という感じですか?

小野

毎週1本の講座を開講します。すごく特徴的なことは、日本ではまだだれもやってないし、海外でもやってないと思いますが、枠買いなのです。

岩本

ワク?

小野

1枠という枠を買ってもらいます。Aさんが来ても、Bさんが来ても、Cさんが来てもいい。

岩本

企業が買い取れるということですか?

小野

そうです。

岩本

野球のベンチシートみたいなものですよね。だれが来てもいい。

小野

そんな感じです。だれが来てもいい。Aさんは例えばア、イ、ウを受けたい、Bさんはカ、キ、クを受けたいということでしたら、それを自由に組み合わせて、1枠なので、1回のクラスに1人参加できるというふうに枠として買ってもらう。個別の問題に合わせて参加していただけるのが最大の特徴だと思います。

岩本

新人の方とか、何年かお勤めになっている方とか、中間管理職の方とか、提供していく層はどのへんになりますか?

小野

零細、中小企業と言われている会社、組織の中堅層、マネジャー層、若手のリーダー層をターゲットにしています。

岩本

年齢でいうと20代後半から30代前半ぐらいの方。

小野

そのぐらいの方々だと思います。

岩本

内容自体の開発も御社でやられているのですか?

小野

そうです。コンテンツにかかわることですね。どういうものがクラスとしてふさわしいのかから始まって、3時間の組み立てと、ツールとして何を持ち帰らせるのかというところまですべてやっています。

岩本

いま聞いていても楽しみな内容ですね。研修というとものすごくお金がかかってしまうから、中小企業が使いやすそうな感じがします。

小野

1クラスが10,973円。

岩本

それで3時間ですか?

小野

3時間です。

岩本

安いですね。

小野

福利厚生で簡単に処理できる金額になっています。去年1年間いろいろな法人さんにかかわらせていただいて思ったのは、中小、零細はマネジャーだったらマネジャーの立場ごと、状況ごとで、問題の発生するポイントも違ってくれば、質も全然違います。その人、AさんのことがBさんにあてはまるとは言えないので、全体を集合させる底上げ教育ではなくて、個別の教育が絶対に必要だとずっと思っていました。その個別教育が、大学受験とか高校受験とか中学受験ではあたりまえのようにやられていますが、社会人に関して個別教育となるといきなりMBAを受けてこいとか。

岩本

敷居が高いですものね。

小野

何百万という世界になってしまっているので、敷居を低くして、なおかつ個別の課題に対応していける仕組みをつくりたいと思ったのがきっかけです。

岩本

すごく楽しみにしています。
最後に何か言い残したことがあれば、どうぞ

小野

マーケティングとかブランディングとか横文字で考えてしまうと、いったいどれが正しくてとかなってしまうと思います。100パーセントを待っていたら絶対に実行できないので、10%、20%でもいいですから、まずやってみるということをしてもらえればなと思います。

岩本

それがまさに「考動(こうどう)」の動く部分ですよね。

小野

でも、動きながら考えていい部分と、動く前に整理しておこうという部分があるので、それをちゃんと整理整頓、秩序立ててやっていくことが大事かなと思います。

岩本

今日はありがとうございました。



※このインタビューは、2008年4月4日に実施しています。


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